当院における診療に対する考え方 及び、アレルギーに関する主な診療内容

抗生剤の適正使用

これまでは抗生剤が風邪などに対しても処方されていたましたが、最近になり効果がないことがわかってきました。効果がないばかりでなく、小さいころに抗生剤をのむと、腸内細菌叢が乱れることによりアレルギー疾患や腸の病気、肥満、糖尿病、がん、精神疾患などの発症に関与することが言われています。

不要な抗生剤をのむことで、悪さをしていない常在菌がいなくなり、残った強い菌が抗生剤に対する情報を得て、耐性菌として育ち、いざ抗生剤が必要になってときに効果がなかったり、免疫が弱い赤ちゃんやおじいちゃん、おおばあちゃんに耐性菌が感染すると重症になってしまう可能性があります。世界保健機構や厚生労働省、日本医師会、日本小児科医会などの指導もあり、当院では本当に必要なこどもにのみ抗生剤を処方いたします。

予防接種について

予防接種に関する偏った、また誤った情報がネット上にあふれています。どの情報が正しいのかを見分けるのが困難な時代になりました。

これまで失われた多くのこどもたちから学び、これからのこどもたちの命をどう守るのかを先人の小児科医やその他の医療関係者は研究し、効果があることが確認できたものが予防接種として行われています。
しかし副反応はゼロではなく、保護者によっては不安も強いと思います。ワクチンを打つリスクは、打たないリスクをはるかに上回ります。

しっかりとした研究や症例報告の調査、検討を参考にした世界保健機構、厚生労働省、日本小児科学会の見解を踏まえ、当院では積極的にワクチン接種を進めていきます。

かかりつけについて

かかりつけについて

かかりつけ医とは、その子の生まれてからの発育、発達の状況、これまでのワクチンの実施状況、その子の体質がこれまでにかかった病気、前回の症状と治療に対する効果、今回の症状の変化などその子供をその瞬間でなく、全体としてとらえ治療方針を決めていきます。
かかりつけを変えることはその子のことを理解できていない診療所で1からのスタートになるため、以前の病気のことや前回の症状が理解できないデメリットがあります。
そのためかかりつけ医を決めずにいろんな病院を受診することや、薬をもらっていたけれど途中で違う病院に変えてみるなどは診療を行う上でお勧めできません。
こどものことを全体像としてとらえてもらえるかかりつけ医をぜひつくりましょう。

食物経口負荷試験について

食物アレルギーの診断は血液検査だけでは判断は困難です。検査が陽性でも食べられることもあり、陰性でも食べられないことがあります。現在確実に診断するには食物経口負荷試験が必要です。何をどの程度食べたら、どのような症状が出るのかを知ることは今後の方針決定に非常に重要です。微量でも症状が出たり、強い症状が出たりすれば、エピペンといってアナフィラキシーに対応できる注射を持っておく必要があります。

負荷試験は体調が良いときに行います。薬を飲んでいると結果に影響が出るので中止が必要です。
月曜日と金曜日を除いて午前中に行っております。インフルエンザが流行する12月~2月は避けて、年間150例ほど行っております。

気管支喘息について

気管支喘息について

こどもの喘息は呼吸機能検査ができないことや、もともとゼーゼー言いやすい体の特徴があり、診断は非常に困難です。

ゼーゼーの原因として、胃食道逆流や微量な誤嚥、声帯の近くや気管支が弱い、腫瘍ができているなどの病気がかくれていることがあり、しっかりと判断する必要があります。

喘息の治療は成長抑制の問題や、気管支拡張薬は使いすぎると薬や効きにくくなったり、そもそもの喘息体質を悪くする物質を出しやすくする可能性があり、漫然と使用するのではなく、適切に評価する必要があります。

当院では6歳以上の児に対しては肺の機能を評価する呼吸機能検査、気道の炎症という喘息の病態をみる呼気NO検査などを行って状態の把握、治療方針の決定を行っていきます。

アトピー性皮膚炎

あかちゃんのうちからスキンケアを行うことは、今後のアトピー性皮膚炎へのなりやすさや、食物アレルギーや鼻炎、花粉症、喘息の原因となるアレルゲン感作を減らす効果が期待されています。これまではステロイドを赤ちゃんに塗るのは患者、医者ともにためらわれていました。しかし悪いときだけ少量塗るという治療は炎症という肌のあれを長引かせてしまい、結果的に皮膚が黒ずんだり、苔癬化といって象の皮膚のような状態になってしまう可能性があります。適切なステロイドのランクを適切な量と期間塗り続け、徐々に減量していくプロアクティブ療法が現在推奨されています。免疫の未熟なあかちゃんの皮膚をしっかりと保護してあげることは、感染、免疫の面から非常に重要です。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎には大きく分けて通年性のダニと季節性の花粉、動物に対する反応などに分けられます。症状に合わせて飲み薬や点鼻薬などの治療や鼻洗浄の指導を行います。当院では舌下免疫療法も行っております。すぐには効果が出ずに3年以上の治療を毎日行いますが、体質自体を改善し症状を軽くする期待がもてます。開始するためには診察、検査、問診などをしっかりと行い、時間をかけて治療内容を理解してもらう必要があります。

オンライン予約